

-

『いま "人が育つ現場"に変えるために〜新しい日本の仕事力を生み出そう〜』と題した今回のシンポジウムは、300人を上回る満場のご参加をいただき、出演者のご発表と活発なご議論をもって無事終了いたしました。
当日は、矢田敏雄理事長の開会ごあいさつに始まり、「労政時報」WEB編集長の原 健より、「仕事力プロジェクト」としてこれまで2回のアンケート調査等を通じて明らかにしてきた「仕事力」をめぐる人事担当者・ビジネスパーソンの認識と現状の課題、議論の論点についてのプレゼンテーションを実施。
続いて、当プロジェクトでのインタビューをはじめ、研究に多くのご示唆をいただいている守島基博 一橋大学大学院教授より、プロジェクトの調査結果と人材マネジメントの現状を踏まえ、「仕事力」をめぐる人材育成の課題と方向性に関する基調講演をいただきました。
休憩をはさんで、基調講演をいただいた守島基博教授と、株式会社ヒューマンバリュー 代表取締役の高間邦男氏、アサヒビール株式会社 人事部の籔内清悟氏を迎えて、原健WEB編集長の司会によるパネルディスカッションを実施。ディスカッションに先立って、高間氏からは、人材育成・組織変革コンサルティングのご知見から、いま求められる「仕事力」と職場における学びの変革の方向性、籔内氏からは、同社でさまざまに展開されている「成長する職場作り」に向けた施策事例のご発表をいただきました。その後の議論では、これらの論点を交えて、"人が育つ現場"を生み出すための課題と、現場リーダー・人事部門の在り方について多くの貴重なご意見・ご示唆をいただきました。今回のシンポジウムは、これまで調査・インタビューを軸に進めてきた「仕事力」研究を、初めて現場の企業実務家に生の議論としてお届けする、いわばプロジェクトにとってのキックオフの機会となりました。ご出演者の方々から提起された論点や、事例発表からご示唆いただいた「仕事力」を育む職場作り・改革に向けたヒントなど多くの情報を活かし、さらにこれらをお聴きいただき、また当サイトでご覧いただいた実務担当者の皆様からのご意見を頂戴しながら、これからの調査・研究を進めていきたいと考えています。
改めまして、ご出演いただきました皆様、ご来場いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。 
-
シンポジウム当日、ご来場いただいた皆様にアンケートをお願いし、プレゼンテーションやディスカッションへのご感想、「仕事力」や人材育成をめぐる現状についてのご意見・お考えをお寄せいただきました。
特に印象的だったのは、シンポジウム終了から短い時間でお書きいただいたにもかかわらず、数多くの方々から大変丁寧に、そして長文にわたるご感想・ご意見をお寄せいただいた点です。また、そのご記入内容からは、私たちが「仕事力」というテーマを通じてお届けした論点、あるいは職場での人の育成をめぐる取り組みに関して、多くの方々が問題意識をもたれ、そして高い関心をお寄せいただいたことがうかがわれます。
以下お寄せいただいたご感想・ご意見の一部をご紹介します。
-
- ●仕事力の定義(全体把握力、関係調整力)の指摘は分かりやすかった。現場で人と人のつながりが生まれ、豊かなコミュニケーションが生まれるよう、部内・課内の活性化策の必要性を感じた
- ●仕事力というと、とてもシステマチックかつデジタルなもののように考えがちだが、業務を進めるための専門力や資格ということではなく、人と人との相互作用であり、気持ちや意欲、感情というアナログに大きく左右されるPowerであり、力が発揮されれば予想もつかない大きな成果を生み出す力と思った
- ●「仕事力=コミュニケーションを円滑にする」ことだと感じました。簡単にコミュニケーションと言っても「"現場"での"人事"との"社員間"の」とそれぞれ円滑にすることは困難でありますが、今後本日うかがったところをヒントに改善できるところから行っていきたいと思います
- ●「仕事力」といわれても、ピンとくるものがなかったが、現場に直結する育成ポイントであり、今後の着眼点として非常に重要なものと感じた。人材育成と一口にいってもさまざまな視点があるように思うが、いかに現場から離れず会社全体を成長させていくかが重要であると常日頃感じている
- ●自らの会社特有の能力・スキルではなく、他の企業、業種、職種において共通に求められる能力だと感じた(業種、職種で必要な能力のバランスは異なるとは思うが)
- ●組織が組織的にサポートし構築していく個人の業務能力だと思いました。現場のリーダーが業績と人材育成の責任を持つのは荷が重すぎるので、業績のタテLineと人材育成のナナメLineの協働を組織的にサポートする必要性の高さを感じました
- ●まさに今抱えている問題で、これまでの手段選択的な対応では解決せず、そのアプローチのヒントになった。リーダーとフォロアー、ビジョンのかかわり、組織開発、自律型組織等整理ができた
- ●人を人として扱う、人がなぜ喜ぶか、悲しむかという簡単なことですが、コスト意識が優先され盲目になっていた。素晴らしいシンポジウムでした
- ●業績向上の圧力の高まり、要員構造の複雑化、さまざまな要因から現場における人材の育成機能が低下していることは否めない事実であり傾向だと感じています。本日のシンポジウムではこの現状打破のヒントを数多く頂戴しました
- ●仕事力とは、会社・事業により異なるのではないか(コミュニケーションだけでなく)。コミュニケーション力低下は、企業に入る以前の教育(学校・家庭)に問題があるのではないか。とはいえ、コミュニケーション力が低下していることを前提に採用せざるを得ず、企業がグローバル社会で勝ち残るには企業の人材育成の重みが相当増していると感じた
- ●人の力が落ちてきているのが他の企業でも多く感じられることを知り、共通の課題であると感じた。この解決策のキーワードとして「仕事力」ということを考えていくのは良い視点でありじっくりと考えていきたいと思った
- ●講演で述べられた「現場リーダー」の重要性を再認識しました。特に現場リーダーに求められる組織能力を習得することが仕事力になることに共感しました。現場経営力をいかに習得させるか、その仕組作りが仕事力の源泉と思われます

-
- ●言葉の定義付けをもう少し行ってほしい。より具体的な事例をあげたほうがもっと有意義であると思う
- ●仕事力の定義ではなく、「何をどうやったか」の仕事力の具体的な例をもっと知りたかった

-
- ●コミュニケーション機会を図るため、月1回簡単なセミナー(例:為替や与信など)を実施。終了後、社内で情報交換会と称して"軽い飲食"を行いながら、他部門との交流を行う。そこでいろいろな気付きや人脈作りを行いながら"仕事力アップ"に取り組んでいます
- ●各人が成長するための「相談する人材」や「経験したい事項」などのマップを作成し、活用する
- ●求める人物像をより「仕事力」ベースに再構築し、組織、採用、起用、評価に反映させていく
- ●日常的に部下のチャレンジを後ろからサポートする機会をたくさん持とうと努めています
- ●個への対応、職場開発、絆作りの重要さはそのとおり。一方、個の変化、職場環境の変化、社会の規範の変化を踏まえることが大事。また、日本だけでなくグローバル/グローカルな視点も必要
- ●「仕事力」について経営者や管理者にまず知ってもらい、理解してもらうことで会社・組織としてどうしていくか考える

「"仕事ができる人材・組織"の「仕事力」とは何か」を問い直すところからスタートした当プロジェクトの問題提起と論点に対し、今回のシンポジウムを通じて、多くの方々からご反響とご共感をいただくことができました。そしてそこには、新しい人材の力を生み出すために、強く生き生きとした職場作りを進めるために、日々奮闘されている現場リーダーや人事担当者の方々の悩みの大きさや問題意識の強さが見て取れます。
『新しい日本の仕事力を生み出そう』プロジェクトでは、今回の議論と皆様からお寄せいただいたご意見を踏まえて、「仕事力」を軸とした人材育成の取り組みの方向性、学びを生み出す職場の在り方について、今後も独自調査や事例研究を積み重ね、その成果を当サイトを通じて随時お届けしてまいります。また、企業の人事担当、人材育成担当の方々や専門家、研究者の皆様と議論を交えて研究する機会、そしてそれらへのご意見をお寄せいただく機会を設けていきたいと考えています。
今後とも、私たちのプロジェクト研究にぜひご注目ください。


