プロローグ 仕事力を生み出す組織 これまでの「仕事力プロジェクト」研究から見えてきた変化の方向性 (財)労務行政研究所「仕事力」プロジェクトリーダー 原 健

〜はじめに〜

「新しい日本の仕事力を生み出そう」プロジェクトでは、昨年11月の労務行政研究所80周年記念シンポジウム(session3)、本年2月の日経ビジネスイノベーションフォーラム(session5)の2回にわたり、調査・研究成果の発表と併せて、人材の「仕事力」を巡る現状や現場における人材育成の課題等について、研究者や実務担当者の方々とのディスカッションを行ってきた。
前回、session5の結びで触れたように、これまでの研究から、いま現場で求められている人材の「仕事力」――戦略力とチーム力を組み合わせた現場経営力を高めていくため、育成の土壌となる現場組織の今後の在り方、見直しの方向性を考えていくことが大きなテーマとして浮かび上がった。
人が育つ"経験とコミュニケーションが豊富な現場"を作るうえで、いま企業が直面している課題とは何か。メンバーが持てる力を発揮し、自律的に機能する"強い組織"には何が必要なのか。このテーマへ向けて歩み出したまさにその折り、日本の社会全体に未曾有の被害をもたらした不幸な大震災が列島を襲った。被災地のみにとどまらず、社会・産業界全体がかつて経験のない混迷へと陥る中、いくつかの企業・組織は機敏かつ応変の対応を図り、人々からの称賛を集めた。ここで改めて、"いざという時"に現場が主役となって力を発揮できる組織とはどのようなものか――が問い直されようとしている。

今回、私たちのプロジェクトでは、こうした組織づくりの視点から「仕事力」を生み出す取り組みについて議論を深めるため、6月1日に秋葉原UDXで開催されたHRプロ株式会社主催の「HR総合戦略セミナー2011」で、これまでの論点整理および組織開発の方向性についての講演・ディスカッションを行った。講演およびディスカッションでは、2月の日本経済新聞社共催シンポジウムに続いて、明治大学大学院の野田 稔教授にご登壇いただき、ご自身の研究と豊富な経営コンサルティングの経験からみた、組織変革の方向性について語っていただいた。
また、今回のシンポジウムに先立って、プロジェクトでは「震災の経験が、マネジメント層が考える組織の在り方にどのような変化をもたらしたか」を明らかにするため、WEBアンケートを実施した。その一部を今回の講演で紹介しているが、より詳細な集計・分析結果を後段で紹介するので、ぜひご覧いただきたい。

仕事力を生み出す組織 これまでの「仕事力プロジェクト」研究から見えてきた変化の方向性

「仕事力」プロジェクトの問題提起

(財)労務行政研究所「仕事力」プロジェクトリーダー 原 健
(財)労務行政研究所
「仕事力」プロジェクトリーダー
原 健

私たち労務行政研究所は、1930年から人事・労務関係の調査研究機関として活動を始め、昨年7月に創立80周年を迎えました。この節目を機に、これから人事部門や経営マネジメント層が考えていくべき人材にまつわるテーマについて、継続的に研究を行うプロジェクトをスタートさせています。そのテーマとは、いま多くの企業が課題として注目している人材育成。プロジェクトでは、これからの人材に求められる「仕事力」をキーワードとして、昨年から研究を行ってきました。

今、世の中では大きな変化が企業を取り巻いています。グローバリゼーション、そして働く人々の価値観やワークスタイルの変化。さらに、不幸な大震災に見舞われ、日本企業はかつて経験のない厳しい環境に置かれています。新しい成長を目指していくために今、何が求められるのか。一番重要な経営資源は、やはり「人材」です。これにはどなたも疑いはないことと思います。

そこで改めて考えてみたとき、皆さんの職場の中では、いま人材はうまく育っているでしょうか? ここ最近、私たちが取材や調査を通じて接する多くの企業で、こうした"人の育成"に関する問題意識がさまざまな形で浮かび上がっています。
では、これからの企業の成長を支えていくために、どのような形で人を育てていくべきか、どのような能力を育んでいく必要があるのか、そのために組織はどのように変わっていかなければいけないのか――ここが問題提起のスタートです。

今求められる「仕事力」とは −全体を見通し仕事をプロデュースする力

かつて、そして現在も、多くの企業で職能資格制度という能力を処遇の基軸に置いた仕組みが採られています。職能資格の等級基準には、各社が考える職務遂行能力の視点から見たキャリア・プロセスが示されている。そのプロセスを勤勉に働きながら登っていく、その登る速さの度合い。あるいはそのプロセスで身に付けた専門性に秀でた部分――そうしたものがこれまで"個の力"の優秀性と見られていたと思います。果たして今日、企業と現場を取り巻く環境が大きく動いている中でも、やはり変わらずこうした能力に大きな価値が置かれているのでしょうか。もちろんこうした能力発揮が大事であることに変わりはないと思いますが、改めて今、どんな「仕事力」が求められているのか。私たちはアンケートで具体的に尋ねてみました。

人事担当者を対象に行ったアンケートでは、「若手から一人前になる段階で求められる『仕事力』というのはどういったものでしょうか?」と尋ねてみました[図1]。

[図1]いま何が求められているのか?

自由記入でいただいた答えをまとめたところ、多く挙がったのはグラフにみるように、「全体把握力」「関係調整力」の二つです。つまり、全体を見渡して仕事をプロデュースしていく、ある意味での「経営力」。多くの人事担当者は、そうした力が強く求められるという見方でした。
同じような質問で、人事担当ではないビジネスパーソンへ尋ねてみたところ、一番多く挙がったのは「戦略力」という答えでした。全体と先々を見通しながら、仕事をプランニングして遂行していく力が大切である――という見方で、人事担当者の考えとほとんど差がないことがここから分かりました。
こうした"仕事をプロデュースしていく経営力"ともいうべきものが、今求められる「仕事力」であると考えた場合、それを身に付けるには何が必要でしょうか。大切になるのは、社内外とのコミュニケーション、さまざまな仕事の経験、時には失敗の積み重ね、そこで自分を取り巻く人から教えられ、教え合う経験――そうした機会に多く触れられる職場環境が不可欠と思います。ビジネスパーソンへのアンケートで、「あなたが考える『仕事力』を身に付けるには何が必要か」という質問でも、「コミュニケーション量の多さは、高い仕事力を生み出すベースとなると思う」という答えが7割超に上っていました。

ビジネスと企業組織の構造変化が「仕事力」の変化を後押ししている

では、なぜこのような「仕事力」が求められるようになってきたのでしょうか。おそらくこれまで、「仕事をプロデュースしていく力」や「全体を見渡して仕事を回していく力」というのは、もっぱら現場リーダー以上の層に求められていたものと思います。それが今は、アンケート結果に見るように、かなり若い世代にまで広くこうした能力発揮が求められていると言えるでしょう。
その背景として、二つのポイントがあると思います。一つはこれから企業がチャレンジしていかなければいけないもの。それは今置かれているビジネス環境の大きな変化です。そしてもう一つは、これから企業がどうにかして改善していかなければいけないもの。それは、組織がいま抱えている内部的・構造的な問題です。

まずビジネス環境の面からみると、かつて日本は製造業を中心に、非常に集約された効率的な生産設備と経営方式を駆使して高い収益を上げてきました。そしてご存じのとおり、こうしたビジネスモデルはグローバリゼーションの中で強力な海外との競争にさらされ、そこで勝ち抜いていくことはとても難しくなっています。では、日本企業が勝ち抜いていく手立てはどこに見いだせるのか。一つは、全体のプロセスの中で「川上」に当たる研究開発の部分で、いかにユニークな商品やサービスを生み出していくか。もう一つは、プロセスの「川下」の部分、顧客とのインターフェイスの中で、どうやって新しい商売のビジネスモデルを築いていくか――こうした点が重要なポイントになってくるのは間違いないと思います。いずれもルーティンワークでは乗り切ることができない。現場の人たちには、ノン・ルーティンの仕事・働き方でどれだけ能力を発揮できるか、ということが強く問われてくると思います。

[図2]何が変化を後押ししているのか?

また、新しい分野を拓くチャレンジは、当然ながら必ず成功するとは限りません。不確実性の高いビジネス環境の下で、チャレンジを重ねて数多くの失敗の狭間からわずかの成功をすくい取り、新しいイノベーションを生み出していく。そのために、企業や組織、そして人材が積極的にチャレンジを続けていくような体制を作っていかなければならない。そこで求められるのがまさに戦略性であり、創造性です。
「選択と集中」という言葉が長く、強く言われていますが、その「選択と集中」の連続を通じてイノベーションを生み出していくために、どうやってリソースをうまく活用していくか。リソースの中ではもちろん、モノやお金も重要ですが、何より人材をどう活用していくかというところが、最も大きなポイントになってくると考えます。

一方、組織構造の面でもさまざまな課題が見て取れます。例えば、バブル崩壊以降の長期にわたる採用抑制で、組織の人員構成がいびつになり、リーダーとメンバーとの年齢差が広がってコミュニケーションギャップの一因になっているケースもあります。また、89年にトヨタ自動車が取り入れた「組織のフラット化」がデファクトとして広がった結果、大括りのフラット組織の中で、1人のリーダーに対して非常に多くのメンバーがぶら下がっている例も多く見られます。こうした中で、リーダーには過重な業務・役割が集中し、とても人材の育成までは手が回らない。結果として、職場の中でコミュニケーションや経験を重ねる機会が乏しくなり、そのために「仕事をプロデュースする力」を育む機会そのものが減ってきているのではないか、と私たちは考えています。

大震災の経験は、人々の「組織観」をどう動かしたか

こうした変化により、いま多くの現場・組織が自律的に機能しづらい、あるいは人が育ちにくい状況に陥っている。そこでどのような変革にチャレンジしていかなければいけないか――というのが、私たちの仕事力プロジェクトで、この2月に行ったシンポジウムまでに議論してきた大きな課題でした。
そして3月、大変不幸な大震災が起きました。
今回の震災に遭われて、本日お集まりの中でも、今なお復旧や復興の取り組み、現場への対応に追われている方もいらっしゃると思います。我々も心からお見舞い申し上げたいと思います。
私たちは今回の震災での経験が、"非常時に強い現場"の在り方をもう一度考え直す、あるいは組織の中での個人の働き方を見直す契機になるのではないかと考えました。
震災後の新聞やテレビの報道では、現場の自律的な判断と行動で、いち早く被災地に物資を届けた伊藤園やヤマト運輸の取り組みがたびたび紹介されました。また、オリエンタルランドの素早い対策本部の対応や、「何がお客様に必要か」を現場の人々が自ら考え行動して2万人に上るゲストのヘルプに当たった対応の素晴らしさは多くの人たちに感銘を与えたことと思います。このように機能した現場、あるいはうまく機能できなかった現場の姿に接して、人々は組織の在り方についてどのような考えを持ったのだろう――という視点からアンケート調査を行ってみました。

アンケートは、全国の課長クラス以上の管理職層を抽出して行いました。設問の中で、震災の経験や報道に接して、「これからの職場の在り方について、どのように考えたか」を尋ねているのですが、ここで特徴的なのは、「自分の職場が直接大きな被害や影響を受けた」人たちが、特に強く"職場の在り方を変えなければいけない"という意識を持っていることで、そのように答えた人の割合は約63%に上っています[図3]。

[図4]”強い現場”を問い直す(1)

また、「自分の職場は直接被害を受けなかったが、別の職場が被害を受けた」という人たちも、やはり6割近くが「今の職場の在り方を見直さなければいけない」と答えています。

もう一つ、「"いざという時に強い組織"の基本とはどのようなものか」を尋ねた結果では、「トップの強いリーダーシップ」が最も多く挙がっていました[図4]。

[図4]”強い現場”を問い直す(2)

これは自分の被害の度合いにかかわらず高い割合となっているのですが、同じ回答者の自由記入をみてみると、「権限委譲」や「自律的に動ける職場」「現場の判断でより有効に機能できること」などの答えも多く見られました。つまり、一般としては「トップのリーダーシップ」が重要とみる一方、"自分の職場のこと"として考えると「自律的な現場」が重要と考えているものと思われます。
また、全体でみた平均値と、「自分の職場が直接大きな被害や影響を受けた」人たちの回答を比較してみると、「現場を牽引していくミドル層の力」「現場での判断基準の共有」「組織の壁や慣習にとらわれない柔軟性」「他の現場を巻き込み、動かせる調整力」などの項目で、「直接被害を受けた」人たちの割合が、平均値を相当上回る傾向が見て取れます。
総じて、ここに挙がった回答から、「これからもっと現場が自立的に機能していかなければいけない」「現場同士がうまく結び付いて機能していかなければいけない」、そのためには「これまでの壁を乗り越えていく必要がある」という認識が浮かび上がっていると思います。

これからの「自律的な現場」づくりの方向性−大括りのフラット組織から機能する小括り組織へ

アンケートを踏まえて、これからの方向性を整理すると、やはりポイントは「どうやって自律した現場」を作っていくか、ということです。
震災とグローバリゼーションを単純に重ね合わせるのは、やや不適切かもしれませんが、不確実性が高い今の経営環境は、常に"いざという時"に置かれているのと同じ状況ではないかと思います。そこで成功の芽を見つけてイノベーションを生み出すためには、チャレンジを繰り返していくしかない。経営資源を有効に活用しながら、選択と集中、組織のスクラップ&ビルドを積み重ねていく必要がある。それに対応できる組織の姿、変わるべき方向性というのは自ずと見えてくる気がします。
もう一つ、人材育成という観点から、先に触れたような戦略性やプロデュース力を高めていくためには、コミュニケーションと経験の積み重ねが欠かせません。その機会を生み出す土壌となる組織・現場を活性化していくためには、いま疲弊してしまっている現場リーダー、言い換えるとミドル層の人材の力が、非常に重要性を増してくると思います。

[図5]これからの組織デザインの方向性を考える

こうした二つの視点から、これからの組織開発への仮説を考えるならば、フラットな大括りの組織から、自律的に機能する小括りの組織への変革が一つの流れになるのではないでしょうか。ミドルを中心に活性化された小括り組織が、お互いに結び付き合いながらチャレンジを繰り返し、そしてスクラップ&ビルドを経て新しいイノベーションを生み出していく。こうした構図が、ビジネスにおいても、人材育成においても重要になってくるのではないかと考えています。
そうした変革の中で人事部門、さらに経営企画部門はどのような役割を担っていくのか。例えば、組織同士を結び付けるネットワーク作りや個々の組織の活性化、リーダーへの支援、さらには経営層からのコミットメントの在り方まで。いままでの考え方ややり方をどう変えていくべきかを考えることは大きな課題になると思います。

特別講演/ディスカッション イノベーティブで危機に強い組織を目指して 明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田 稔氏

「平時」とは発想を変えなければならない

明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田 稔氏
明治大学大学院
グローバル・ビジネス研究科 教授
野田 稔氏

「イノベーションの状況においても、危機の状況においても、組織が直面する環境は似ています。それは一言でいえば「有事」の状態です。同じく「有事」への対応力が問われるという意味では、イノベーティブな組織は、同時に、危機にも強い組織であると言えるでしょう。
「平時」に強い組織とは、効率性の高い組織のことです。そこでは、無駄を削ぎ落とし、よりの多くの成果を上げることが追求されます。しかし、「有事」では効率性ではなく、むしろ「効果=effectiveness」の大きさが重要なカギを握ります。無駄の有り無しではなく、「意味のあることがなされているか」が事の成否を分けるのです。つまり、効率と効果とでは、取り組み時の発想を変えないといけない。効果と効率を同時に追求することはできないのです。
日本企業が直面している環境はまぎれもなく「有事」です。有事には、「短期的な有事」と「中長期的な有事」があります。今回の東日本大震災は、多くの企業が緊急の対応に迫られた短期的な有事です。
では、この短期的な有事が一段落したら、我々は「平時」に戻れるかというと、答えは「否」です。今回の震災に見舞われる以前から、すでに日本企業は、中長期的な有事の環境に置かれているからです。日本という国は大きく変化を強いられていて、緩やかな大変化を起こさなくてはならないという状況にあります。要するに、イノベーションが求められているということです。
高度成長期、かつての構造の下で、我々は「やるべきこと」が分かっていました。だからこそ、組織は効率を追求できたのです。つまり「平時」でいられたわけです。それが今は、やるべきことが分からない時代、すなわち、組織が効率のみを追求することができない時代になっています。

低リスクでトライ&エラーを重ねられる組織が生き残る

やるべきことがはっきりと見通せない現状では、何をすべきかを選び出す「選択力」をつけることが必要です。求められるのは、次にあり得るべき可能性をできるだけ多く見つけ出し、可能な限りリスクを低くしつつ、トライをし続ける組織です。このような低リスクで高効率なトライ&エラーができる組織しか、勝ち残れない時代になっています。
当然、一つの会社の中でも、いろいろと取り組むべきことが出てくるはずです。昔の企業のように、「これだ」と決めたら後は遮二無二やるというスタイルはなじみません。そうではなく、とりあえず、あれもこれもやってみること。しかし、ただダラダラと続けるのではなく、経営がきちんと進捗を見極めながら追加投資をするかどうかを決めるというスタンスが、今は適しています。
「3M(スリーエム)」という会社の組織構造は大変興味深いものです。既存のビジネスは、コツコツとコストを切り詰めながらしっかりと取り組んでいます。真面目に平時のマネジメントをやっているわけです。しかしそれと同時に、来るべき危機に備えて、平時のピラミッド組織の上に、有事のアメーバ組織のようなチャレンジチームをたくさん設け、新たな商品アイデアのネタを探しています。いわば二つのレイヤーを持った組織構造をつくっているのです。
「既存ビジネスをやめて、全員で新たなことにチャレンジする」のではないのです。そんなことをすれば、会社はつぶれてしまいます。既存ビジネスは残したうえで、次の事業の可能性を担保できるようなデファクト候補に小さなチームがたくさん張り付く組織構造が求められるということです[図1]。

[図1]それぞれのデファクト候補にチームが張り付く

小括り組織が「顧客」との対話を通して新たな価値を生み出す

そして、こうした小括り化された集団・組織それぞれが「顧客」にぴったり貼り付かないとこれからの商売は成り立ちません。
「プロダクトアウト型」の組織は、やることが決まっていた平時に強い効率的な組織です[図2]。上位が戦略を策定し、下の人間がそれを効率的に遂行する。このようなプロダクトアウト型組織が通用する産業領域や国が依然として存在していることも事実です。ただ、日本ではもうそれは通用しません。
1980年辺りから「マーケットイン」ということも言われました。プロダクトアウト型のピラミッドを逆さにしたのですが、戦略策定と実行が組織の上位と下位に分かれていたという点で、プロダクトアウト型の組織構造と基本的には変わりませんでした。
ところが、1990年代終わりから2000年に入るころ、時代が大きく変わり始めました。消費ニーズが飽和し、欲しい物がない時代になったのです。では、本当に何も欲しくないのかといえば、そうではありません。潜在的に欲しいものはたくさんある。これを各々の現場が顧客との対話の中からかぎとって、「もしかしてこんなものが欲しいのでは?」という仮説を立てて提案し、「ちょっと違う」と言われれば引っ込めて、再び顧客と対話を繰り返しながら正解を探っていく。このようなトライ&エラーをハイスピードで回せる組織や人たちが次のヒット商品を生んでいくわけです。私はそのような組織のことを、「コンセプトアウト型」の組織と呼んでいます。
この組織形態では、まさに主役は現場であり、トップの主な役割は「サーヴァント・リーダーシップ」という言葉に象徴されるように、現場に対して支援をしていくことにあります。現場が生の情報を元に、発想豊かに次を考えるという組織が、強い組織になってきたということです。

[図2]フロントエンドエンジニアリング(顧客接点へのエンパワメント)の組織戦略

現場の議論を集約して調整する内部構造を備えること

小括り化された組織が、顧客との対話を重ねながらトライ&エラーを繰り返す。一方、経営には、その中からどれかを選んで次の柱に育てるという意思決定を行うこと――「選択と集中」が求められます。そこでは、並列した小括り組織の衆知を集めて、議論を集約し調整する機能を要します。ただ、これは容易なことではありません。
古い例になりますが、ロイヤル・ダッチ・シェル(編注:現在、世界第2位の石油エネルギー企業であり、スーパーメジャーのうちの1社)の"アントヒル・コミュニケーション"という手法が参考になります。アントヒルとは"アリ塚"のことです。

かつて私は、シェルの経営戦略についてインタビューする機会がありました。緻密な明文化された戦略が作られていると考えていたのですが、インタビューしてみると、実はそうではありませんでした。地域経営計画も将来ビジョンも「ない」と言うのです。では、どのように、多国間にまたがる広範囲の企業グループを運営していたのか。そこで出てきたのが、アントヒル・コミュニケーションだったのです。
同社は、本社の持つ、「どこかの国のローカルな価値観」を強制することはあってはならないと考えていました。それぞれ環境が大きく異なるような世界中に広がった組織をまとめ上げるには、それは現実的ではないという考えも背景にありました。
アントヒル・コミュニケーションでは「将来、シェルはどうあるべきか」を社員同士が議論します。議論の場を世界中のグループ企業内に意図的に作り出し、自社グループの将来像を社内で語り合うコミュニケーションを重ねていく。その中で徐々に意見が集約されてきます。最終的に皆が考える方向性を経営陣が感じ取り、そのうえで戦略を出していたのです。言ってみれば「ミドルアップ&ダウン」によって、議論を集約し、調整していたわけです。
ちなみに、アリは、例えば砂糖を探しに行く時、女王アリの具体的な指示を受けて砂糖のある場所に向かっているわけではありません。砂糖を見つけたアリがそれを隣のアリに話をし、そのまた隣のアリに伝えていくなどとしていくうちに"アリの道"として収斂されていきます。それと同じような構造を持つコミュニケーションであることから「アントヒル・コミュニケーション」と呼んだのだそうです。
さらに、シェルでは「オッドマン(ODDMAN:その場の常識を知らない半端者)」という興味深いシステムも持っていました。これは、各領域/各地域のマネジメント会議に、常にそこに関係のないメンバーが一人だけ入る、という制度です。例えば極東地域のマーケティング会議には、北欧の製油所長がオッドマンとして入る。あるいは、逆に、石油資源の開発会議に南米の営業所長が参加するのです。
似たようなカルチャーの人の集まりでは、簡単に答えが出る。ところがそれは他のカルチャーの人から見ると「なぜ?」ということがたくさんあります。そこでオッドマンの役割として、議論に待ったをかけられるのです。オッドマンに「なぜ?」と問われたら、会議の参加者は、オッドマンが納得するまで説明する義務を負っています。

このように、シェルの組織は、現場の議論を集約して調整する内部構造を備えていたのです。組織の小括り化を進めても、こうした構造を併せ持たなければ、「強いイノベーティブな組織」にはなり得ないということです。

「トップダウン」と「ミドルアップ&ダウン」は共存し得る

最後に一つだけ付け加えたいことがあります。本当にボトムアップだけでよいのかという問題です。先日、コマツの坂根会長とお話をしたとき、坂根さんは次のようなことを言われました。
「平時はミドルアップ、ミドルダウンでよいが、危機に際してはトップダウンも必要である」
「トップにしかできないこととは、リスクを取ることと、痛みを伴う犠牲を強いることである」
「自発的に考えさせることと、やり方まで指示すること。両方ある。この切り分けは実に難しい」
すなわち、有事におけるトップダウンというのは、一言で言うと、リスクへの不安に悩む現場に対して「考えさせるが迷わせない」「熟慮させるが困らせない」ということと言えます。トップダウンというのは何も、「お前たちは考えるな。すべて俺に従え」ということを意味しません。「お前たちに任せる。ただし、責任は俺がとってやる」というトップダウンもあるということです。
私はこうした「トップダウン」と「ミドルアップ&ダウン」はそれぞれ役割を分担しながら共存し得ると思っています。トップがいなくてもいいミドルを推奨しているのではないということです。

特別講演/ディスカッション ディスカッション フラット組織から小括り組織への方向性を考える

人材育成と組織の問題発見が見逃されるフラット組織

【原】野田先生のご講演を踏まえて、「仕事力を生み出す組織開発の新戦略」という本日のテーマについて、改めて考えてみたいと思います。

今、不確実性の高いビジネス環境で、数多くのチャレンジを繰り返しながらよいものを見いだし、「選択と集中」を進めていく。このサイクルをハイスピードで回すことができる企業が勝ち残れる、というお話をいただきました。こうした方向性で考えた場合、現状みられる大括りのフラット組織ではやはり対応しづらい部分が少なくないと思います。そこで改めて、先生がお考えのフラット組織の問題点について、まずおうかがいしたいと思います。

【野田】もちろん、組織のフラット化にはいろいろな効用もあります。昨日の夜、明治大学で組織のフラット化について講義しました。講義を受けている学生は、大部分が会社通いの社会人なのですが、その人たちの多くは「フラット化でひどい目にあった」と話していました。でも一方で、「フラット化したことには意味はあった」とも言うんです。それは何かというと、それまで「マネージャーです」という顔をしながら何もしていなかった"フリーライダー"が、フラット化で現場に戻り、昔取った杵柄で戦力になる。これが短期的には、組織へのカンフル剤として、とても有効に機能するわけです。トヨタ自動車もそうでした。1989年ごろ、海外進出が本格化した時期に、腕のある多くのミドルマネージャーが現場に立ったことは、短期的にはトヨタ自動車の突進力を高めたと言えると思います。

しかし、そうしたメリットもある一方、最悪なのは、やはり人材育成の立ち遅れです。誰もメンバーの面倒を見なくなるので、組織としての拡大再生産ができなくなってしまう。もう一つ、以前から言われていることですが、フラット組織というのは「自己変革力」が弱い。仕事の単位が大きくなりすぎると、仕事の全容を把握することが非常に困難になり、どこでどんな無駄が生じているかとか、どこをどう変えるべきかということを、誰もつぶさに見ていない状態になるわけです。
実際、業務に邁進していると、「木を見て森を見ず」で全体像はなかなか把握できませんから、大きな組織では各所に問題が隠れたままになりがちです。やはり、ある程度は小括り化して、誰かがちゃんと見るという役をつけないといけないと思います。

【原】トヨタ自動車の場合は、2007年ごろから「人を育てる」という観点を重視して、小括り化にしたわけですね。

【野田】実際には、2002年から「ポスト・フラット化」の取り組みが始まっていました。それまで100人単位くらいの組織に1人の管理職だったのを、平均して20人単位に切り分けていって、グループ長、課長を復活させた。加えて、そのグループを2つないし3つ、平均して50人くらいを束ねる役割として室長を復活させる――という形で階層化したんです。
小括り化の目的は「人材育成」と「業務の開発」ですが、実はもう一つあって、それが「イノベーティブ」なんです。やはり大きな範囲の中でざっくりと物事を見ていると、本当の問題にはなかなか気付けない。自分の視野を狭めて、「ここの問題は100%解決する」と言った瞬間に問題が見えてくる。組織の小括り化には、視野を狭めることによって、より深くものが見えるようになり、課題への気付きが生まれるという効果があるのではないかと思っています。

組織変革とともにコミュニケーションスタイルの変革が必要

【原】一方、イノベーションのチャンスにたどりつくためには、小括り組織が一所懸命動いていくだけでなく、お互いにかかわり助け合いながら新しいものを作り出していく取り組みも必要と思います。そのために、小括り組織を結び付けるコミュニケーションの仕組みやコミュニケーションのための発信力も重要なポイントになると思います。先生のお話しではアントヒル・コミュニケーションの例をご紹介いただきましたが、こうした部分について考えていく必要があるのではないでしょうか。

【野田】おっしゃるとおりで、もしかしたらそれが一番大事なことかもしれません。日本はどちらかというと「平時」を長く続けてきたので、コミュニケーションそのものが効率化重視の方向に流れてきたと思うのです。効率化したコミュニケーションの最たる例が、「あうんの呼吸」と言われるようなコミュニケーションスタイルだと思います。

しかし、これからはより説明的なコミュニケーションスタイルが必要になってきます。小括り化された組織同士は、お互いのことをよく分かっていないので、「俺達は今、こんなことをやっている。こんな課題があって、こんな新しいことができて、面白いと思わない?」といったことを、お互いがちゃんと口に出して伝えて共有していくという仕組みが絶対に必要なんです。

ここで問題になるのは、今までのコミュニケーションスタイルと説明的なコミュニケーションスタイルが明らかに違っているので、戸惑う人が多いだろうということです。「あの時のあれ、ちゃんとやっておいてよ」「すいません。ちゃんとやっておきますから」なんていう会話では、当人同士で通じていても、周りで聞いている人たちは何を言っているのかサッパリ分からない。
要するに、"ちゃんと説明するコミュニケーション"のクセをつけるということです。「この仕事は何のためにやるんですか?」とか「私たちのターゲットは誰でしたっけ?」といったことも含めて。そういう意味で、特に上位者の説明能力を絶対につけていかなければいけない。小括り化したリーダーは、リーダーとしての対外的・対内的説明力というものを徹底的に磨く必要がある。これはかなり大きな問題だと思います。

これからはリーダーを育てる時代 小括り組織をカンパニーに見立てて経験を積ませる

【原】それが現場でリーダーシップを発揮するための第一歩につながるということですね。先ほどのお話にもあった、小括り組織が自律的に活動していくためのミドルアップ&ダウンのリーダーシップ、先生の著書ではユビキタス・リーダーシップとしても触れられていますが、これからの組織を動かしていくためのリーダーシップ開発に関してはどんな取り組みが必要でしょうか。

【野田】もちろん、リーダーシップ教育と言われるような研修などは大切だと思います。ただ、日本ではこれがあまりに軽視されてきています。多くの企業では、新任課長になってからいきなりリーダーシップ教育という感じではないですか? ゼネラル・エレクトリック(GE)などは、入社したときからリーダーシップ教育がスタートします。部下のいる・いないは関係ありません。まさにユビキタス・リーダーシップです。
私はリーダーシップを、「他人に影響力を行使して、望ましい行動を起こさせること」と定義しています。一言で言うと「巻き込む力」。これがリーダーシップだと思っています。ということは、新入社員であっても同僚を巻き込む力、逆に上司を巻き込んで事をなしていく力が必要とされるわけですから、まさに全社員が自発的なリーダーシップを発揮すべきなんです。そこで、研修だけでいいかと言われると残念ながら十分ではありません。まず研修はしてほしいし大切なのですが、リーダーが育ちやすい組織構造というものも当然バックアップしなければいけない。

昔、『坂の上の雲』のころ、1900年代の初頭ですが、日本の人口は4500万人くらいでした。それが1968年に1億人を突破して、2004年には1億3000万人弱まで達しました。つまり、約100年かけて8000万人増えたわけです。4500万人からプラス8000万人というのは、ものすごい成長といえます。こうした成長の上り坂にあるときは、とにかくチャンスが多いわけです。マーケットが広がり続けているから、当然人手が足りない。人手が足りないところにやることがたくさんあって、チャンスが多く巡ってくるわけですから当たり前のこととして人が育ったんです。
よく「リーダーは育つものなのか、育てるものなのか」という議論があります。上昇期を知っている人は「育つもの」だと言う。それはそのとおりです。チャンスがたくさんあったわけですから。でも、これから先はチャンスが減る社会なので、「育てる」ことが必要です。そのとき、修羅場をくぐらせることが、やはり「育てる」コツの一つと言えると思います。そうすると、小さなカンパニーのような小括り組織で、言ってみれば擬似的なカンパニーなのですが、その中で修羅場をくぐらせるということです。

今、中国や韓国で人が育っていて「スゴイですね」と言いますが、それは当たり前なんです。かつて日本がそうだったように、成長期には放っておいても人は育ちます。でも衰退期には育てなければ無理です。ですから、小括り化している組織というのは、"擬似的につくった新興国"のようなものだと思っていてください。ソニーやホンダが起業したときのような、ベンチャーのような組織を小括り化組織となぞることができるのではないかと思います。そうして、いい経験を数多く積ませ、トライ&エラーを繰り返させながら段々とリーダーとして育てていくべきだと思います。

【原】よく分かりました。本日議論させていただいたように、これからのビジネスと人材の育成に向けて、組織の小括り化への取り組みを一つの流れとして考えた場合、具体的な組織のデザインをどう考えていくか、小括り組織の中でどのように経験を積ませ人を育てていくかなど、さらに多くの課題が浮かび上がってくると思います。
本日は時間が参りましたので、この先の議論は次の機会に譲りたいと思います。
本日の議論を踏まえ、今後もプロジェクトでは「仕事力」の研究を進めてまいりますが、これからはプロジェクトの情報を発信しているWEBサイトに、オンライン会議室の形で多くの方々からご意見をいただき、議論を展開する場を設けたいと考えています。ぜひ野田先生にもご参画いただければ思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

皆さま、本日は長時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

調査レポート1 戦後最大の危機は日本の企業、企業人に何を問いかけたか

東日本大震災の経験に見る組織と仕事の関係性

2011年3月11日。死者、行方不明者合わせて2万人以上に上る大災害の姿は、それまで経験してきたものとはまったく異なっていた。あの時、次第に明らかになっていく東北の被災地域の、そして、福島第一原発の状況の報道を見て、あるいは実際に体験されて、時代そのものが軋みを上げて変わりつつある、そういう想いをもたれた方は少なくなかったと思う。
もしかしたら、この大震災の以前と以後では、日本の社会の在り方自体が大きく変わってしまうのではないか。そしてそれは、仕事の在り方、日本企業の存在の仕方そのものにも及んでいくのではないだろうか。決して大げさではなく、そういった予感が念頭をよぎった方も多かったのではないか。

こうした問題意識を受け、労務行政研究所「仕事力プロジェクト」では、東日本大震災を受けて企業人の意識がどう変わったかをWEB調査により探ることとした。実施日は、震災後ちょうど2カ月となる2011年5月11日。対象は、従業員数30人以上の企業に属する管理職(課長職級以上)516人である。
日本の企業の管理職は、東日本大震災を、どう受けとめ、そしてそれを契機に自らと自らの会社をどのように見つめ直したのだろうか。

[図1:回答者の属性(地域)] / [図2:回答者の属性(役職)]

震災にどう立ち向かったか

直接の被害を受けたのは全体の8.3%。ただし、間接的な影響は77.5%に上る。

今回のアンケートの回答者で「自らの職場が直接被害を受けた」という比率は8.3%。直接被災された地域からの回答が少なかったにしては、かなりの比率に上った[図3]。これは、震災による直接の影響に加え、計画停電など二次的な被害の影響も大きかったためと見られる。このほか、「所属する職場は被害を受けなかったが、自社の別の職場が被害を受けた」32.9%、「自社は被害を受けなかったが取引先が被害を受けた」36.2%を加えると、実に全体の77.5%が何らかの影響を被ったという結果となり、東日本大震災が日本の企業社会にいかに大きなインパクトをもたらしたかを如実に示している。

[図3:震災の被害をどの程度受けたか]
組織の見直しをした企業は全体の3割。89.3%の企業が、義援金拠出や被災地支援を実施。

何らかの影響を受けた企業のうち、30.8%が、対策組織の立ち上げや被災地応援、人事対応など「震災対応のために組織面での見直しや工夫」を行っている[図4]。また、直接的な被災地支援ということでは、69.8%が「会社としての義援金」を、53.7%が「職場や社員単位での自主的な義援金」を拠出、もしくは拠出予定。社員ボランティアの支援を行った/行う予定である(17.1%)、会社組織としての被災地への支援活動を行った/行う予定である(25.2%)など、実際に体を動かしての支援も多い[図5]。

「全国の支店から応援の人員、災害用に保管してあった水、食料、乾電池、日用品等を会社の災害復旧本部に集め、お客様からの要望に対応している」「ボランティアで訪問入浴サービスを派遣。オムツ等、高齢者用物資を寄付」「取引先の依頼で後片付けの支援をした」「顧客の在庫品等で損傷が出ているモノは無償で交換」(※)

自社は被害を受けていなくとも、ボランティアで、あるいは本業のフォローアップとして、多くの企業が震災に、被災地に、直接向き合っている。

※イタリック体は回答文からの引用。以下同様。

[図4:制度面での組織での見直しの有無] [図5:組織としての被災地支援状況]

調査レポート2 いざという時企業はどうあるべきか

全体の61.2%がトップのリーダーシップに期待。お手本はソフトバンク。

東日本大震災の経験を経て、企業の管理職は、「いざというときに強い組織」には何が必要と感じたのだろうか。
「いざというときに強い組織の基本は何か」という質問に対する回答のトップは、やはりと言うべきか、「トップの強いリーダーシップ」(61.2%)。次いで、かなり差はあるが、「現場メンバーの高い使命感/倫理観/当事者意識」(33.1%)となっている。これに対し、「現場を牽引していくミドル層の力」という回答は16.2%、「現場リーダーへの権限委譲」は19.2%にとどまり、トップや現場に比してミドル層への期待は乏しい[図6]。
こうした回答と比例するかのように、今回の震災で「すごいと思った」企業としては、圧倒的にソフトバンクが支持を集めた[図7]。理由は孫代表の100億円寄付と迅速な経営判断。「ああいうトップがいたら」という気持ちが見えてくる結果となっている。

[図6:いざというときに強い組織の基本とは] [図7:震災対応で「どの企業はすごい」「この現場は素晴らしい」と感じたか(1%以上の回答を得た企業)]

トップへの期待はどこまで「真実」か

では、この回答どおり、「いざというときに必要なのはトップのリーダーシップ」ということを基本と考えてよいのだろうか。実は、先の回答を見ていくと、いくつか気になる点がある。一つは「なぜそう判断したのか」という理由の面。実は、「東京電力の対応を見ていて」「政府の対応を見ていて」など、マスコミ報道の影響でそう思った、という回答者がかなり多い(35.1%)。つまり、「世間でそう議論されているから、最大の課題はトップのリーダーシップ」と思ってしまっている可能性が相当高いということだ[図8]。

[図8:どういう事例から「いざというときに強い企業」のことを考えるのか]

この疑問を裏付けるもう一つのデータとして、「東日本大震災の際における自社での対応経験」を基に"強い組織の基本"の回答を考えた人の集計結果がある[図9]。この結果を見ると、「トップの強いリーダーシップ」は40.4%と大幅にダウン。逆に「ぶれることのないトップの明快な行動指針」の回答比率が42.4%と大幅に上がっている。同じトップの判断とはいっても、具体個別の行動指示のイメージが強い「トップの強いリーダーシップ」と、個別指示というより、長期のビジョン共有という意味が大きくなる「明快な行動指針」では、かなりニュアンスが異なる。

[図9:「自社の対応から考えた」人のいざという時に強い組織の基本とは]

また、他の選択肢を見ていくと、「現場メンバーの高い使命感/倫理観/当事者意識」が40.4%と大幅に回答率を上げているほか、「組織間の壁や慣習に囚われない柔軟性」の回答も25.5%と、全体平均を10ポイント以上上回っている。
まとめていうなら、「緊急時には(トップの個別判断に依存するのではなく)、あらかじめトップによって共有された指針に基づき、現場が当事者意識をもって、命令系統に拘らずに、必要なことを自身で判断して行動すべき」ともいうべき方向性である。ここからは、いわゆる"トップ信仰"とはかなり異なった風景が見えてくる。
震災時の帰宅難民対応に際し、オリエンタルランドは、同社のパーク運営の基本であるSCSE(Safety>Courtesy>Show>Efficiencyという四つの行動基準を、この優先順位で守るという理念)にのっとった行動を、現場で自発的かつ柔軟に行うことで、優れた緊急事態対応を実現できたという。自社対応から考えた回答者のアンケート結果が意味するところは、イメージとしては、このオリエンタルランドの事例に近いかもしれない。

「いざというときはトップの決断」。一見至極もっともに感じられる回答結果だが、データやフリーアンサーを詳細に見ていくと、必ずしもそうとは言い切れない部分も浮かび上がってくる。リーダーシップを巡る議論は、決して単純に割り切れるものではないようだ。。

調査レポート3 私たちはどう変わればいいのだろう

全体の39.1%が自らの働き方を、54.8%が職場の在り方を変えるべきと回答

これまでの日常を一瞬で変えてしまった東日本大震災。いままで見てきたように、日本の企業に勤めている管理職の方々にとって、それは決して対岸の火事ではなかった。多くの人々が直接の被害を、間接的な影響を受け、その一方で、義援金やボランティア、そして企業としての支援活動と、震災対応に能動的に関与している。
では、そうした体験は、自らの仕事の在り方、あるいは職場の在り方に対する価値観・考え方にどのような影響を与えているのだろうか。

アンケートの結果を見ると、全体の39.1%が自らの働き方を、54.8%が職場の在り方を「震災を契機に変えるべき」と回答している[図10]。実際に被害を被った方々に限定するなら、その比率はさらに上がり、働き方では51.2%、職場では62.8%にも上る。
東日本大震災は、すでに、これだけの意識の変化を起こしている。日本の企業は、そこでの働き方は、これから大きく変わっていかざるを得ないだろう。

[図10:自身の働き方や職場の在り方を変えるべきと思ったか]

求められるのは、自律した現場と各自の自覚

職場も企業も、この悲劇を契機に変わらなければならない。そう感じた回答者は、では、どういった変革、変身を考えているのだろうか。
ここでは職場の在り方に限ってその方向を見てみたい。フリーアンサーの再集計の結果を見ると、その第一は「現場での対応力」の15.4%。次いで「自発的な社員の育成」11.0%、「組織間の連携」8.1%、「フレキシブルな対応」8.1%の順となっている[図11]。
具体的なフリーアンサーを見てみよう。

「現場(現地)で実行する仕組みに変えたい」「各自が個人で判断できる(する)範囲の拡大」「(強いリーダーシップは必要であるが)各個で考え、指示無くとも応用をきかせた行動を求めたい」「組織間の壁、業務分掌の壁を乗り越えた迅速かつ柔軟な組織、機能、対応が必要」「フレキシブルな組織運営で、従来の規定に捉われない動きができること」

並んでいるのは、現場の自律を、柔軟な対応と連携を、そしてそれを支える当事者意識をもった各社員の在り方を求める声である。

[図11:職場の在り方のうち、特に「組織の見直し」に言及した人の意見]

すぐに見て取れるのが、「いざというときに強い組織の基本」(前掲[図6])との回答傾向の差である。「強い組織の基本」では圧倒的な1位だった「トップのリーダーシップ」は、ここでは、全体8位、5.9%へと回答率を落としている。この差はなぜ出てきているのだろうか。
大きな違いは、「強い組織の基本」では一般論としての回答を求めたのに対し、この質問はあくまで「自分の職場、自分の会社が変わるべき方向」を問うている、ということである。自分ごととして回答しているかどうか。それが差を生み出した最大の要因といえるのではないか。
この推測を支えるもう一つの証拠として、先に見た、自社での震災対応の経験から「いざというときに強い組織の基本」を回答していただいた方の回答傾向を挙げることができる。そこでも、全体傾向より、明らかに現場重視の選択肢が多くなっていた。
自分ごととして捉える。自らがどう変われるか、という視点からこれからの在り方を突き詰めていく。そういった自覚が現場の自律という回答へとつながっていると考えるのは、ややうがった見方に過ぎるだろうか。

次の日本を生み出していくために

新しい日本の仕事力を生み出したい。これが、私たちが「仕事力プロジェクト」を始めた問題意識だった。
東日本大震災という未曾有の危機に直面し、様々な方が仕事や組織について感じられたこと。実は、私たちは、そこに仕事力プロジェクトと通底したものがあると考えている。なぜなら、どちらも先が見えない危機に対し、どのように対応していくべきか、その時、企業の組織は、そして人づくりはどうあるべきかという同じ問題に立ち向かっているからだ。

バブル崩壊後の20年間、日本経済は激変する世界経済の只中で、先の見えない闘いを続けてきた。それは個々の企業においても、またそこで働く人についてもまったく同じである。グローバリゼーションは、今までの産業構造のままでは、旧来のビジネスモデルや経営手法、そしてそこにおける組織や人材育成の在り方では、未来は招き寄せられないという厳しい現実を日々突きつけ続けている。

不確かな未来に向け、今までのやり方に頼ることもできず、それでも進んでいかなければならない。これは、東日本大震災という「想定外」の緊急事態への対応と、時期の長短はあるにせよ、同じ本質をもっているのではないか。
言い換えるなら、私たちが今回の大震災で感じとったこと、評論家的な立場ではなく、当事者として体に刻みつけざるを得なかったことは、そのまま、これからの日本を、そこにおける「新しい」仕事の在り方、企業の在り方を考え、作り上げていく基盤となるのではないだろうか。私たちはそう感じている。

自律した現場と高い当事者意識の必要性。それを長期に支える明快な行動指針としてのリーダーシップ。
東日本大震災で得た教訓は、これから日本の仕事力を新たに生み出していく際の、力強い核となっていくはずである。

エピローグ プロジェクトの次のステージに向けて

「HR戦略総合セミナー2011」特別講演を振り返る

2011年6月1日、HRプロ株式会社主催「HR戦略総合セミナー2011」(会場:秋葉原UDX)のオープニング特別講演として開かれた「仕事力を生み出す組織開発の新戦略」は、200名以上に及ぶ方々にお集まりいただき、大きな熱気のうちに討論を終えることができた。

当日の講演は、労務行政研究所の原 健による仕事力プロジェクトの振り返りから始まった。日本経済の沈滞が続く背景には、日本企業の「仕事力」そのものの弱体化があるのではないか。この疑問からスタートしたプロジェクトは、今回までに、二つのアンケート、4回のインタビュー、そして2回のシンポジウムを経て、次第に疑問への回答の方向性を見いだしつつある。
グローバリゼーションという世界経済構造の変化の中における「必要とされる」仕事力自体の変化。そして、そうした仕事力を生み出していくためには、個だけに着目するのではなく、職場・企業組織自体を変革していかなければならないだろう、ということ。すなわち、組織デザイン、組織開発がなければ仕事力もない、ということである。

一方、3月に発生した東日本大震災は、産業界に大きな影響をもたらしたとともに、その未曾有の事態に直面した多くの企業・組織に、これからの在り方への再考を促す大きな契機になったと考えられる。震災から2カ月余りを経て、その影響がなお色濃い中で開催された今回のセミナーに合わせて、労務行政研究所では、震災を受けての仕事・組織の在り方に対する管理職の意識変化についてのアンケートを実施した。(詳しくは本セッションのアンケート・レポートを参照)
東日本大震災を経て、実に多くの企業管理職が、自らの働き方、そして自社の組織のあり方を「変えるべき」と感じている。その想いは、直接的な被害を受けられた方ほど強い。では、企業組織は、どの方向に変わっていくべきか。一般論としては「トップの強いリーダーシップ」を求める声が多かった反面、自社の組織についていうなら「自律的な現場」を育てていきたいという回答が多数を占めた。危機の時こそ強いリーダーシップが必要というのは、ある意味、常識的な考えである。一方、仕事力プロジェクトでは、自律した現場こそが、人材を育み、次の仕事力を生み出すカギではないか、という議論を重ねてきた。どちらが正しいのか。東日本大震災を受けてのこの問題意識が提示されたところで、特別講演は、野田 稔氏の報告にバトンタッチされた。

野田氏の報告は、「平時」と「有事」というキーワードで始まった。東日本大震災は有事である。では、震災から数カ月経ったいまは「平時」か――そうではない、と氏は言う。短期的には平時にみえるかもしれない。だが、いま私たちは、グローバリゼーションの激動の中で、日々いままでのビジネスのスタイルを壊し、新たな在り方を創造していく必要性に迫られている。これまでのやり方は続けていけない、イノベーションを起こさなければならない。この意味で、現在は、「長期にみた」有事だという。イノベーティブである、とは、常に有事の体制でいなければならないということを意味しているのだ。
では、長期の有事に対応していくためになすべきことは何か。有事に必要なのは、一方的なプロダクトアウトでも、単に顧客の顔色をうかがうマーケットインでもない。細かくセグメントされ、常に揺れ動いている市場に入り込み、その中でこれまでにない提案をしていく。一言でいえば「コンセプトアウト」。新たな概念を常に創造し、提起していくビジネスの在り方が求められる。そして、こうしたコンセプトアウトができるのは、市場に、顧客に、密着しつつ、一定の「全体像」も把握することができる自律した現場組織以外あり得ない。つまり、長期の有事対応の基本は、トップではなく現場なのだ。

小括り化した現場組織によるコンセプトアウト。しかし、これだけでは、企業組織は成り立たない。そこにはどうしても小括り組織同士の調整が必要となる。
その時に重要になるのがコミュニケーションの能力である。野田氏が、ロイヤル・ダッチ・シェルの例を挙げて指摘したのが、ボトムアップによる全体調整の在り方であった。その要となっているのが、各現場の意思決定プロセスに、別の現場のリーダーを「オッドマン」として入れ込むシステムである。これにより、各現場がその現場だけの理屈に凝り固まるのを防ぐとともに、すべてのリーダーが他の現場のオッドマンとなる経験を通じ、全体組織が柔軟に調整されていく。
蟻の集団が見事に助け合って動けるのは、女王蟻からのトップダウンによるものではない。個々の蟻同士のフェロモンによるコミュニケーションが、組み合わさり、全体としての適応行動をもたらしているのだ。ロイヤル・ダッチ・シェルのやり方、現場同士のコミュニケーション能力を向上させることでゆるやかな全体最適を達成する手法論は、この蟻の習性をモデルとして、「アントヒル・コミュニケーション」と呼ばれているという。

それではトップのリーダーシップは必要ないのだろうか。いや、明確な役割がある、と野田氏は言う。コマツの坂根会長の言葉を引いて、最後に野田氏が述べたのは、「リスクをとる」「犠牲を強いる」という二つのトップの役割だった。
いざというとき、現場が動けなければ、問題は解決しない。これは短期の有事であっても長期の有事であっても変わらない。だが、そのときに現場が迷うことがある。一つは失敗した時のリスクが現場では取りきれないということであり、もう一つが、例えばリストラで仲間を解雇するような犠牲を決断することである。この二つについては、判断自体ではなく、結果の責任をトップが取る。その方針を明確に共有しておく。
この基盤があってこそ、各現場がどこまでもイノベーティブになれる。チャレンジができる。つまり、トップのリーダーシップとは、個別の正解を示すことではなく、現場が働けるベースを作るところにあるのだ。

「仕事力と有事」に思うこと(特別講演アンケート)

特別講演に来場された方に、当日、アンケートをお願いし、今回の講演を受けて感じられたことをお寄せいただいた。回答数は、わずかな時間であったにも関わらず、全体の半数近くの139人にも及んだ。この場を借りてご協力に心から感謝したい。
回答された方のうち、78.4%が従業員数300人以上の大企業所属。役職では、役員・部長クラスが25.6%、課長クラスが31.6%と、全体の半数以上がマネジメント層ということになった。この属性に見られるように、自社でのマネジメントの状況を踏まえた実感のこもった声を多数寄せて頂いている。
以下、ほんの一部であるが、事後アンケートに上がった声をご紹介したい。

「有事」に対する組織の在り方についてお感じになられたことをお知らせください
  • ●現場にempowerすることの重要性を強く感じました。Intranetに"提案チャット"コーナーを設けたいと思いました。現場の声をすばやく集め対応することができそうです。
  • ●平時、有事でのリーダーシップの在り方、組織のあり方について参考になった。特に意思決定に対し指示を待つ自分に反省させられた。
  • ●緊急時に対応できる組織はイノベーションを起こせる組織であること。今回、自社で起こったことを見つめ直す必要があると感じました。
  • ●グローバル競争に勝ち残っていくためには、個々に自律的にあるべきと改めて思った。現場=一般の多くの社員が、いかに考えられるかが重要だと思った。
  • ●緊急時、イノベーションともに同じような能力が必要であることは新たな発見であった。今後を見据えた中での人材育成において着目していく点として具現化していきたい(教育の仕方、ビジョン的なもの)
  • ●有事のリーダーシップとミドルアップのミックスという話には共感。有事のリーダーシップを発揮できる本社人材はどう育つのかが、次の課題。
  • ●震災のように、誰の目から見ても緊急時という状況においては、自発的に対策を練ろうという組織になりやすいと思うが、目に見えにくい(見ないようにしているだけかもしれないが)緊急時に組織はどう動くべきなのだろうかと悩みが増えました。
  • ●現場の組織が判断し実行できる会社としての在り方に共感できます。そのいざというときのために、日ごろ、会社としてどのような育成をなすべきか、トップにどのようにかかわってもらうか、考えさせられました。
  • ●平時からのトップ会社としてどうあるべきかという芯の部分があってこそ有事に現場が動くことができるものだと感じました。弊社は恥ずかしながら、他部署どうしの責任のなすりつけあいになってしまいました。
  • ●講演に接し時代の変化と共に組織、人材育成の在り方、考え方の示唆を受け、まさに、同感する日常です。グローバル時代はますます拡大する一途で、全体最適の適応力に活力と意識を追加していく必要性を感じました。
  • ●トップからの方針を待っているのではダメだということがよく分かった。トライ・アンド・エラーでどんどん提案していこうと思った。パワーをいただけた。
  • ●3月の震災があったことで、「会社がよく分かった」という声を多く聞きました。緊急時に対応できなかったからこそ今考え直すべき時だと思います。
  • ●組織の在り方について再認識することができました。平時と有時の違い、ミドルマネジメントとトップマネジメントが共存できるという点を興味深く聞かせていただきました。
  • ●野田先生の講演は非常に興味深かったです。今般の震災が皮肉にも有事のマネジメントを考えるきっかけになったことは必然とも言えるのかもしれません。
  • ●個人個人が自律的に行動できる組織づくりが必要になるということは、やはり最低限の共有すべき考え方、"理念"などの浸透も大切だと感じました。

仕事力プロジェクトの次の展開に向けて

「いまは危機の時代」であり、だからこそ「有事に対応した組織が必要」なのだ。
今回の特別講演で明確に打ち出されたこの指摘により、仕事力プロジェクトの進むべき方向性がますます明確に見えてきつつある。

危機の時代だからこそ、全体を見据えた戦略を構想し、周囲を巻き込んでその戦略を実現していく「新しい仕事力」が各現場に必要となる。そして、そういった仕事力が実現していくためには、また、そのための人材を育てていくためには、何より、組織の形と在り方を考えていかなければならない。
仕事力を追求するプロジェクトは、現在、ここまで議論を進めてきている。

だが、有事に対応した=イノベーティブな組織の必要性と言っても、その具体的な姿の探求はまだこれからである。まず組織の形、デザインがある。イノベーティブであるために、そして、人材育成力を持つためには、「フラット化ではなく、小括り化」が必要。この大まかなベクトルは正しいとしても、「小括り化のスパンは」「全社が小括り化すべきなのか、一部だけなのか」「小括り化した現場をオーガナイズしていくためにはどんな制度が必要か」といくらでも論点が出てくる。
また、組織の議論に必要なのは外形的なデザインだけではない、ということにも注意が必要だ。そこには、組織に所属するメンバーをどう動機付け、当事者意識を持たせ、成長させていくかという組織開発の論点も様々に存在している。ふつう組織開発の議論は、現場へのエンパワーメントや、モチベーションの向上などミクロな分野で語られることが多い。だが、先にアントヒル・コミュニケーションの例で見たように、組織開発は多国籍企業の全世界マネジメントという最もマクロな局面においても必須の要素となっている。どの階層で、どのような組織開発が必要なのか。それは組織デザインとどのように絡むものなのか。議論は尽きない。

私たちは、こうした議論を、より具体的かつバラエティに富んだ形で展開していくことで、様々な業種業態、多様な立場で企業組織に関与されている方々に役立つ示唆を提供していきたいと考えている。このために、仕事力プロジェクトでは、現在、野田 稔氏をはじめとするキーパーソンの方々に参加していただき、多彩な視点から「新しい仕事力を生み出す組織の在り方」を議論する仕事力会議室(仮)を、WEB労政時報のサイト上で展開することを企画している。
会議室という名称が示しているように、キーパーソン同士のディスカッションを中心としつつ、興味・関心を持たれる方が幅広く参加していただけるやり方を提供していく予定である。今後とも、是非とも、仕事力プロジェクトにご期待いただき、可能であれば、私たちの議論に直接参加していただきたい。
多くの方々とともに「日本の新しい仕事力」を生み出していきたい。それが私たちの想いである。